▼ 第八回公判の巻(C氏) その八 〜判決〜
4 結論
以上のとおりであるから,被告人は,公職選挙法221条3項3号,1項3号,1号の加重買収罪の罪責を負う。
(量刑の理由)
本件は,衆議院小選挙区選出議員補欠選挙(福岡県第6区)にあたり,被告人らが,選挙運動者に対し,選挙運動をなしたことの報酬として金銭を供与したという公職選挙法違反の事案である。
運動買収は,選挙の自由公正を害し,代表民主制の根幹を揺るがす犯行であるところ,被告人は,Aらが人手不足を解消するためアルバイトの雇入れを決定し,その後,集票のため選挙運動をさせるに至ったことを十分に認識していたにもかかわらず,報酬の支払に直接携わっていたものである。出納責任者のDが病身のため十分な活動ができなかったことから,被告人が実質的な会計責任者の地位にあったことを考慮すると,その果たした役割は大きい。また,報酬の受供与者は未成年者を含む18名に及ぴ,供与金額の合計も32万5800円であり,発生した結果も小さくない。
以上に加え,被告人は,捜査段階では事実を全面的に認めていたものの,公判において否認に転じ,果たした役割は機械のごときものに過ぎなかった旨の不合理な弁解に終始し,自己の行為の責任と正面から向かい合う姿勢に乏しい面が見られるなど,犯行後の犯情は芳しくない。
以上によれば,被告人の刑事責任を軽視することはできない。
他方,本件は,Aの主導の下に行われたもので,被告人はアルバイトに選挙運動をさせて報酬を支払うことにっいての意思決定に直接関与しているわけではなく,Aに比べて従属的な立場でなしたといえること,多数の受供与者を犯罪に巻き込んだことについては責任を感じ,それなりに反省の気持ちを表していること,仕事には真面目に取り組んでいること,これまで前科前歴がないことなどの酌むべき事情も認められる。
そこで,諸般の事情を総合考慮し,主文のとおり判決する。
(検察官H,私選弁護人[主任]K,同T各出席)
(求刑懲役1年)
平成15年3月25日
福岡地方裁判所久留米支部
裁判長裁判官T 裁判官N 裁判官M