▼ 延☆嘉隆の議
平成15年1月6日、つまり、初公判前に、私から、公判担当の弁護士の先生方に宛てた意見書を提出しておりました。検察側から実質的な出納責任者であるとの指摘を受けている運動員の判決を一週間前に控え、この裁判に臨んだ、私の心境をご理解賜りたくお願い申し上げます。以下、本文。
公判担当弁護士 各位
前略 先生方におかれましては、常日頃より、本件の解決のためにご尽力頂いておりますことを心より感謝申し上げます。14日に予定されております初公判に臨むにあたり、連座制適用の可能性がある立場として、私の見解を述べさせて頂きます。
元々、我われの選挙が、国家、及び、地域に対する責任として、有権者の自発的な政治参加をその主旨としており、@.利益誘導型政治からの脱却を掲げ、そのためにもA.膨大な選挙費用を削減すべく手作りの選挙を行うため、無給ボランティアスタッフである後援会主導の選挙を実施した次第でございます。ゆえに、選挙に関った全てのスタッフに票を金で買うという意思自体が存在し得ないことを背景とした選挙でありましたことをご理解頂きたく存じます。
本件は、公選法に規定されている、労務作業に専従すべきアルバイト十数名が電話での投票依頼を行ったことという事象でございます。今回の選挙は、起訴された3名に限らず、私と、私を支えて頂いた全てのスタッフが、公職選挙法に対する認識が足りなかったために生じた偶発的な過失であります。ゆえに、公選法第221条に掲げる買収罪の本質、即ち、票を金で買うという行為とは根本的に異なると認識しております。
以下は、本件起訴状控訴事実を拝読し、検察側との意見の相違があるのではと考えておる点でございます。
まず、本事案の大前提として、A・B・Cの3氏、及び、D・E両氏の全員が、私に当選を得させる目的をもって、アルバイトに金銭を供与したものではないということ、つまり、犯意は一切なかったということでございます。そのため、起訴された3名、及び、E氏、この4名間の全ての関係において共謀関係が成立せず、検察側が前提としている組織性そのものが否定されると考えております。
また、支出に関する最終意思決定権は出納責任者であるD氏にあり、D氏には労務者としてのアルバイトに正当な労働の対価としての賃金を払ったという認識しかなく、3氏・E氏とD氏とは意思を通じた関係ではないと考えます。つまり、C氏は、単に、支払い・振込み等の支払うべき金額の行為を行っていたものに過ぎないわけであります。このことは、選挙に主体的に関った後援会スタッフの見解が一致するものでございます。
更に、控訴事実において、C氏が、出納責任者であるD氏と「意思を通じて」、「選挙運動に関する支出の金額のうち、福岡県選挙管理委員会が公選法第196条の規定により告示された額である2,461万5,800円の2分の1以上に相当する額を支出したもの」として、実質的な出納責任者と定義されておりますが、前述のように、そもそも、C氏とD氏が意思を通じていないこと、又、県選管に提出した「選挙収支」の総額が約1,127万円であることから、いわゆる法定選挙費用の2分の1を支出したとする検察側の見解には、「延よしたか後援会」としての支出分から、法定額の半分以上に足りうる相当額を選挙に関する支出として認定しているものと推察され、選挙及び後援会の支出に関する見解の相違が認められます。
以上、本件に臨む、私の基本的な考え方を述べさせて頂きましたが、公判において、本件におけるC氏の位置付け、即ち、出納責任者と意志を通じての是非が最大の焦点であると考えるとともに、公判において如何なる判決が下されたとしても、今までの連座裁判における最高裁の判決に記載される政治浄化を目的とした連座という考え方に本件の本質が該当しないと考えます。と同時に、私が調べた限りにおいては、出納責任者との関係での連座適用の事案が見当たらず、本件への対応が齎す影響が甚大なることを顧慮し、真実を追求することが立法府を志す私に与えられた責務であると考えております。
又、連座というものは、いわゆる刑罰ではなく、法の効果という認識をしておりますが、政治を志す人間にとっては、一生十字架を背負って生きるに等しく、今後の政治活動において例えようの無いハンディキャップを受けることでございます。
更に、立法府である国会議員への出馬にあたり、法律の遵守ということを強く自身の胸のうちに秘めていたとい経緯もあり、メディア報道で伝わる「買収罪」に起因する「連座」という事柄に対し忸怩たる思いがございます。
ふるさとと祖国を思い、義侠心で立ち上がった我われの行動の一貫性を示すうえでも、煩雑な裁判を早期に終了し、有権者の忘却に期待するのではなく、徹底的な真実の追究にこそ「議」があるものと考えております。
本件は、地盤・看板・鞄等の政治的な後盾なく政治の世界に飛び込む私の同世代が、最も陥りやすい事案でございます。ですから、支援組織を持つことができない無所属の人間が二度と私と同じような境遇になることがないよう警鐘をならしたいと強く思っております。
正直申し上げまして、私自身、選挙後以来、一日でも早く本件から逃れたいという思いを毎日抱いております。しかしながら、真実を追究することが、志を同じくして政治の世界に飛び込む同世代の人間に、信念を持って挑戦をすることへの勇気を与え、同時に、逮捕拘留された3名が体験した耐え難い心痛に報いることだと信じております。
上記ご理解の上、公判に臨んで頂きたくお願い申し上げます。
平成十五年睦月六日 延 嘉隆